二風谷宿泊


「宿探し」

私が二風谷に到着したのは、夕方の5時近くでした。

ここに来たのは、以前読んだ本で、作者がこの町に建てたアイヌ民具の資料館を知り、
北海道に来る事があったら、絶対訪れようと思っていたからです。
こんなに苦労するとは思わなかったですけどね(笑)。
次回は絶対ドライバー連れてきます。

で、この時間では資料館も閉まっており、かと言って他の町に出る術もありません。
この近辺で、どこか泊まれる所を探さなくてはいけません。

そう、夜に自分が何処にいるやら分からなかったので、予約とか全然していなかった
のです(汗)。

と、バス停から程近い所に民宿発見。
こういう所に泊まった事がないもので、果たして営業しているのかも判断できません。
どきどきしながら接近。
白い柴犬っぽい子(これが北海道犬?)を発見。
ここに決定(笑)。←犬好き。
資料館も近いし、この先歩いてみても宿が見つかる保証も無い感じですから。

さて、泊まれるのかな?

「すみませーん」

...返事なし。

もう一回呼んでみると、今度は中から若いお姉さんが。
どきどきしながら、予約してないけど泊まれますか?と訊ねてみると、OKとのこと。
お部屋確保です。
準備の間、お茶の間で待たせて貰うと、二風谷やアイヌ語の本、ビデオなんかが一杯。
一週間くらい逗留して読み漁りたい気分(笑)。

部屋は畳で、エアコン無いけど石油ストーブは置いてあるのが北海道って感じ。
実際、この季節でも夜とか涼しいんですよねえ...羨ましい。

荷物を置いて、しばらく散歩してみる事に。
他に宿泊客が二人いるそうで、夕食はその人達と同じ時間にしました。
それまで自由時間です。

「犬触っていいですか?噛みます?」
「噛みませんけど...抱きつきますから、手を出すくらいにした方がいいですよ」

チャレンジ(笑)。
わふわふ言ってる犬に近付いてみると、ばっと前足を上げて抱きつきの構え。
これは...夏場だし、毛だらけにされそう。
鎖ぎりぎりの所から手を伸ばして撫でるだけに留めました。
それだけで面白いように白い毛が抜けます。
冬場なら思いきり遊んであげたいぞ。

その後、資料館の所在等を確認して戻ってくると夕食の時間になっていました。

「二風谷の夜」

夕食はバーベキュー。
庭に炭火焼きセットが!肉は地元の平取牛だそうで!!

旅行に来た癖に、これまで大したもの食べてなかった私は幸せでした(涙)。
#いや北海道だからラーメンとか屋台とか目が行ってて...。

同じ宿泊客のお二人は、仕事で来たそうで。
私が明日行こうと思ってた資料館の館長さんと打ち合わせをしてきた所だそうです。
先生か教授か研究者か、そんな感じでした。
珍しいなあ、と思ったけど、こんな所に仕事でもなく、ふらふら一人で平日に来てい
る私の方が余程珍しいのかも(汗)。

地名とか詳しくて、私が妹背牛行きのバスで神居古潭へ行き、帰りは春志内まで歩い
た話をすると、
「妹背牛は音から取った当て字で、モセ・ウシ=葦が茂るという意味」
「春志内という地名は北海道の各地にあり、いずれも山菜などが豊かな土地」
などなど、いろいろ教えてくれました。

神居古潭も、一時は観光地として賑わっていたらしいんですが、最近では訪れる人も
少なくなってしまったとか。
それって、侍魂全盛期にどっと人が押し寄せたのかなあ...まさかね(笑)。
でもそうだったら、ちょっと申し訳ない気が。

宿のお姉さんが「いま頂いたんです」と魚を持ってきてくれたので一緒に焼きます。
いっぱい贅沢しました。
ここ、お姉さん一人で切り盛りしてるように見えるんだけど...凄いなあ。
予約していたらしいお二人に、飛び込みで泊めて貰った話をすると、この民宿は結構
有名な所なんですよ、と教えて貰いました。
そうだったのか。

最後の焼きおにぎりまで、全部おいしく頂きました。

夕食を終え、お風呂に入って、読みたかった本を何冊か借りて読み...。
あとはぐっすり。

よく眠れました。

「また会う日まで」

いつもは目覚ましがないと昼まで寝ている私が、7時前に爽やかな目覚め。
素晴らしい事です。

ごはんに卵に魚に味噌汁...幸せな朝食。
もうここで暮らしたい(笑)。
天気予報は、相変わらず大阪と10℃も違いそうな気温をつけてます。
ますます帰りたくない...。

今日はアイヌ文化博物館と資料館、沙流川歴史館、それに民芸品のお店を覗いてみて、
札幌方面に向かう予定ですが、乗り継ぎを考えると、やはり昼頃のバスに乗らなくて
はならないようです。
乗り過ごしたら...ここでもう一泊だろうな(笑)。

富川駅に行くバスが午後1時10分。
それ迄に全部回れるといいなあ。
でも、こいつに乗っても、案の定というか、富川駅からの電車が少ない模様。
民宿のお姉さんが、電話で時刻を問い合わせてくれる事に。

「すみません、富川から苫小牧に行く電車はありますか?」

なんか無くても仕方ないって聞き方なのは気のせいですかー?!(汗)

1時間待ちながら電車があると聞いた時には、ちょっと安心しました。

先に出発した二人を見送って、私も荷物をまとめます。
そういや値段とか全然聞いてなかったなあ...。
聞いてみると、5300円。
しかも細かいお金が無かったら5000円にしてくれたんです。
二食付きですよ?

今度は予約して、おみやげ持って来る事にします。
わんわんにもお別れして資料館へ。

...そう云えば私、最後まで名前も何も聞かれなかったんですけど。

民宿ってそういうモノ?
ともあれ、おかげさまで屋根のある所で夜を迎えられたばかりか、とても楽しい体験
でした。


ありがとう二風谷。